男子800m決勝、和田伸也選手とガイドの村上康則さん

男子800m決勝、和田伸也選手とガイドの村上康則さん

「2日であわせてくださるのが、さすがプロの選手だなと思いました」

福島県で開催されたジャパンパラ陸上競技大会(9月24日)男子800m(視覚障害:T11)決勝で2分07.12のアジア新記録を出した和田伸也選手は、競技後、こう話した。

和田選手が「さすがプロ」と話したのは、伴走を務めた村上康則さんのこと。
村上さんは、福島県いわき市出身で、富士通所属の中長距離選手として活躍。2010年の日本陸上競技選手権大会男子1500mで優勝した実績を持っている。2016年に現役を引退したが、ジャパンパラ競技大会の前週、和田選手の伴走の依頼を受けた。伴走を予定していた中田崇志さんの故障により、急遽、代役を探していたのを、引き受けた。

和田選手と村上さんの二人が顔をあわせたのは、競技が始まる前日。
福島市のとうほうみんなのスタジアムのサブトラックで、練習終了時刻17時までの40分ほど練習した。
今大会最初の種目1500mは、ぶっつけ本番のようなレースになり、記録の更新は叶わなかった。

「僕のミスなんですけど、和田さんがきつくなったところで、僕も和田さんのペースにあわせてしまったところがありました」。
村上さんは、1500mの走りの反省を踏まえて、翌日の800mでは、正確なラップタイム(トラック1周の所要時間)を伝えることを意識した。
和田選手は800mの終盤はややフォームが崩れたものの、日本記録を更新。アジア新記録を出した。

「7月の世界パラ(パラ陸上世界選手権)が終わってからは、スピード強化に取り組んできた成果が出せたと思います」と和田。

800m出場は、2014年の仁川アジアパラ競技大会以来の3年ぶり。来年開催予定のアジアパラ競技大会を見据え、今大会で800m、1500mに出場したが、手ごたえを感じる走りができた。

(取材・撮影:河原レイカ)