車いすラグビーワールドチャレンジ2019 2019/10/18 東京体育館

グループリーグ最終戦となる4試合が行われ、日本(世界ランク2位)は19時15分開始の第4試合に登場した。前日までの子どもたちに変わり、仕事帰り風の大人が大半を占めた観客の声援を後押しに、日本はイギリス(同4位)に57-51で勝利して、3勝全勝のA組1位で準決勝へ駒を進めた。

ともに2勝でグループ首位突破を狙った両チームの一戦はティップオフから終始、ヒリヒリするような緊張感が続いた。先制点はキャプテン池透暢の得点で日本が奪ったが、その後はパスをつないで攻める日本に対し、スピードに勝るイギリスがよく走り、互いに取ったり取られたりの時間が続く。開始4分すぎに日本が池のターンオーバーから2点差をつけるも、終盤にペナルティとターンオーバーを許し、第1ピリオドは16-17とイギリスにリードされて終了。次のピリオドも互いに1点ずつ積み重ねる時間が続いたが、残り1分で日本が集中した守備から池がまたターンオーバーして追いつき、前半を30-30のイーブンで後半へ望みをつないだ。

後半に入ると、疲れの見え始めたイギリスに対し、日本の守備が襲い掛かり、ターンオーバーから池や池崎大輔が連続トライを重ねた。第3ピリオドは44-40と日本がリードし、最終ピリオドもじりじりと引き離し、最後は6点差で日本が勝ち切った。

「仲間を信じ、応援を信じて、力を出そうと思って戦った」と池キャプテンは振り返り、ローポインター(障害の重い選手)として主に守備で貢献した今井友明は、「緊張感を切らさず、自分たちのプレーを継続できたのが勝利につながった」と手ごたえを語った。そんな選手たちを、ケビン・オアーヘッドコーチ(HC)は、「ファイトしつづけ、ワンチームで戦った結果。チームを誇りに思う」と称えた。

この勝利で19日の準決勝の相手は、B組2位のオーストラリアに決まった。ここ数年、因縁の相手でもある。日本が初めて世界の頂点に立った昨夏の世界選手権では決勝戦で対戦し、日本が62-61で振り切った。一方、今年9月のアジア・オセアニア選手権(AOC)決勝で再び顔を合わせたが、55-57の2点差で日本が敗れている。

イギリス戦先発で流れを作った島川慎一はオーストラリア戦に向けて、「互いに手の内を知ったチーム同士。(AOCでは)最後、チームの力が少し足りなかった。その課題を修正して明日はしっかり立ち向かいたい」と意気込み、オアーHCは「マッチアップは今日よりもっと厳しくなる。自分たちのプレーを、一貫性をもってやり抜くことが重要」と引き締めた。

今大会初優勝を目指す日本。立ちはだかるライバル、オーストラリアを倒し、その挑戦権をつかみ取る。

(*世界ランキングは、2019年9月13日時点)

(取材・執筆:星野恭子)
(撮影:小川和行)

日本代表1番 若山英史選手(左)

日本代表1番 若山英史選手(左)

日本代表9番 今井友明選手

日本代表9番 今井友明選手

日本代表13番 島川慎一選手

日本代表13番 島川慎一選手