日本代表 池崎大輔選手(右)

日本代表 池崎大輔選手(右)

日本(世界ランク2位)はグループリーグA組2試合目で、フランス(同6位)を51-42で下し、開幕2連勝で準決勝進出を決めた。明日18日にグループ首位突破をかけて、同じく2連勝中のイギリス(世界4位)と対戦する。

日本は島川慎一、池透暢キャプテン、池崎大輔のハイポインター(障害の軽い選手)がコートを駆け回り、着実に得点を重ねた。一方、フランスもスピードもスキルもあるハイポインターたちのトライで食い下がったが、日本の機動力やチームワークが上回った。

東京パラリンピックの前哨戦と言われる今大会、日本は貴重なシミュレーションを重ねている。選手起用のさまざまなオプションを実戦で試すほか、「観客の声援への対策」もその一つだ。連日、日本戦を中心に小中高校生らが団体で訪れるなど会場は大歓声に包まれている。初日はのべ5,400人、この日も6,400人が来場した。応援は選手を後押しする力になる一方で、「声援が大きくて、チームのコミュニケーションが取りにくい」という反省が初日夜のミーティングで上がったという。

対策として、ケビン・オアーヘッドコーチ(HC)はこの日、主に守備に関するベンチからの指示を、コミュニケーション用のカラーボードを使ってコート内の選手に伝える新たな方法を試みた。「この色を掲げたら、守備をプレスからゾーンに変える」「この色なら、マッチアップする選手を交代」といった約束事を予め作っておき、声の代わりに指示したという。

オアーHCは、「昨日は声がかれるほど指示を出したが届かなかった。今後も必要になると思い、戦略の一つとしてカラーボードを試した」と導入の理由を語り、池崎は、「(指示が)聞こえなくて迷うとトランジションが遅くなる。でも、目から入る情報なら、すぐに動けるので効果的」と手ごたえを語った。

地元開催の東京パラリンピックは観客もさらに増えることが予想され、比例して歓声のボリュームもアップするはずだ。今回、カラーボード導入の効果が確認できたのは来年に向けた収穫の一つだろう。

なお、18日の全4試合もスタンド席は全席無料で行われる。日本対イギリス戦の試合開始は19時15分。B組も2勝同士で並び、準決勝進出を決めたオーストラリア(世界1位)とアメリカ(同3位)が16時15分ティップオフで対戦する。両試合の結果で、19日の準決勝の組み合わせが決定する。

(*世界ランキングは、2019年9月13日時点)

(取材・執筆:星野恭子)
(撮影:小川和行)

日本代表13番 島川選手

日本代表13番 島川選手

日本代表 乗松隆由選手(右)

日本代表 乗松隆由選手(右)

会場には大勢の観客

会場には大勢の観客