男子(T54) 1500m決勝 鈴木朋樹選手

男子(T54) 1500m決勝
鈴木朋樹選手

「目指しているところは、リオパラリンピックなので、
今大会は、自分の体調を確認するための大会と位置づけています。

リオに行けなかったとしても、リオに行くんだという意気込みで、
自分のマックスをリオパラリンピックにあわせるようにしていきたいです。

パラリンピックは4年に1度ですから、自分の状態をパラリンピックにあわせる方法を、
今のうちから練習しておこうと思っているんです。
2020年になって、いざ、パラリンピック日本代表に決まりましたとなった時に
何もできないと意味がないので…」

7月2日。
町田市で開催された第21回関東パラ陸上競技選手権大会(関東大会)。
男子(T54)の鈴木朋樹選手(22歳、関東パラ陸協)は、
最初の種目1500m決勝を終えた後、こう話した。

今シーズンの鈴木は、ブラジルのリオデジャネイロで開催される
パラリンピックへの出場を目指してきた。
種目を800mと1500mに絞り、パラリンピック日本代表選考の指標になる
IPC(国際パラリンピック委員会)のランキング8位以内を狙っていた。

5月のスイス遠征の結果で、ランキング8位以内が厳しくなり、
リオへの切符を手に入れることが難しいことが分かっていても、
「リオに照準をあわせる」と、鈴木は言った。

関東大会、男子(T54)1500m決勝。
鈴木は、序盤で選手が合流する際の位置取りがうまくいかず、
自身が先頭で引っぱる形になった。
そのまま最終周まで先頭をとったが、後ろにつけていた日本記録保持者
樋口政幸選手が第4コーナーで前に出た。

「勝利を樋口さんに譲ってしまったところが、後悔ではあります。
でも、いつもは樋口さんが先頭に出たら離されてしまいますが、
今回は最後までついていけたところが良かったです」と鈴木。
大会前日に発熱があったが、調子は悪くないことは確認できた。

1500m決勝
1位・樋口政幸選手 2分59秒03
2位・鈴木朋樹選手 2分59秒34

3分を切る好タイム。鈴木には手ごたえがあった。

続く800m決勝は、
鈴木が「樋口さんに隙があれば、勝ちたい」と考えてきた種目だ。

スタートで飛び出した鈴木は、オープンになった時、後ろを見た。
自分と樋口との距離があいていた。
後半は、樋口が加速に乗って追いあげてくることが予想できる。
鈴木は、序盤でつくれた差を活かし、逃げ切る展開に持ち込んだ。

「全力で走りました。最後の一周で鐘が鳴る間隔があいていたので、
後ろとの差があることが分かり、このままいけば1位になれると思って走りました。
逃げるしかない、と思いました」と鈴木。

800m決勝
鈴木朋樹選手 1分33秒34
樋口政幸選手 1分35秒49

鈴木のタイムは、自己ベストだった。

800m 2位に入った樋口政幸選手(37歳、プーマジャパン)は、
「完敗ですね。スタートから離されて、合流してからもじわじわ離されてしまい
ましたので、完全に力負けです」と話した。

鈴木の成長をもっとも感じているのは、
国内トップで追いかけられる立場の樋口かもしれない。

7月8日。
日本パラリンピック委員会より、リオパラリンピック日本代表選手団の第二次発表があった。
トライアスロンなど一部の競技を除いて、リオパラリンピック日本代表選手が決定した。

日本代表選手のリストに、鈴木朋樹の名前はない。

「IPCの世界ランキング5位以内に入ることがいいのかなと考えています。
パラリンピックで決勝に進むには、ランキング8位以内にいるのがいいと思いますが、
5位以内にいることで、決勝に残った選手のなかでも良い位置につけると思っています」
関東大会で今後の目標について尋ねると、鈴木はこう答えていた。
 
国内の主な陸上大会は終了したが、
鈴木は、リオパラリンピックに照準をあわせて調整を続けるだろう。

IPCランキング5位以内は、パラリンピックに出場するためだけの目標ではない。
パラリンピックの決勝で、上位に食い込むための目標だ。

鈴木の視線の先には、2020年の東京がある。

(取材・撮影:河原由香里)