車いす男子の優勝は渡辺勝選手(写真提供Ⓒ東京マラソン財団)

車いす男子の優勝は渡辺勝選手(写真提供Ⓒ東京マラソン財団)

東京マラソン2017は2月26日に開催され、車いす男子は、渡辺勝選手(25歳、所属:TOPPAN)が優勝した。記録は1時間28分01だった。2位は、リオ・パラリンピック金メダリストのマルセル・フグ選手(31歳、スイス)で記録は1時間28分01、3位は鈴木朋樹選手(22歳、関東パラ陸上競技協会)で記録1時間28分02となった。車いす女子は、アマンダ・マグロリー選手(30歳、アメリカ)がマニュエラ・シャー選手(32歳、スイス)を僅差で破り、優勝した。記録は1時間43分27だった。日本人の女子選手は、喜納翼選手が5位、記録1時間46分11、中山和美選手が6位、記録1時間46分14だった。

今大会は、2016年大会からコースが変更。フィニッシュ地点が東京ビッグサイトから東京駅前に変わり、全体的にコースの起伏が少なくなった。海からの風も少なくなることが予想され、優勝を狙う有力選手たちがどこで勝負を仕掛けるかが見どころだった。
車いす男子のレースは、序盤、西田宗城選手(32歳、バカラパシフィック)が積極的に前に出た。中間地点での先頭集団は、マルセル・フグ選手、渡辺勝選手、鈴木朋樹選手、西田宗城選手、吉田竜太選手、ジョシュア・ジョージ選手(USA)、洞ノ上浩太選手、山本浩之選手、エルンスト・バンダイク選手(南アフリカ)の9名で構成。その後、エルンスト選手が脱落したため、終盤まで8名の集団で進み、ゴール前のスプリント勝負となった。

渡辺は、リオパラリンピック日本代表落選の悔しさを改めて語り、東京マラソン2017ではスプリント力を活かせたと話した。

渡辺は、リオパラリンピック日本代表落選の悔しさを改めて語り、東京マラソン2017ではスプリント力を活かせたと話した。

渡辺勝選手は、「最終的にはスプリント力で勝てたと思います。途中は、比較的余裕がある場面が多くて、何度か前に出ようか、仕掛けようかと考えたところもありました。しかし、マラソンで先頭集団で走ったことがなかったので、最後まで集団で走りたいと思い、少し守りに入ってしまいました。
そういう点では、最後に余力が残っていたということで良かったのかなと思います」

「勝ちはしましたが、積極的には攻めてはいないです。守りに入って、最後、力を残して勝てただけです。今後は積極的に攻めて勝てるレースを自分でつくっていかないといけないと思います。まだまだ力をつけなければいけないとレース中に感じていました」

「リオパラリンピック日本代表には落選してしまい、悔しかったです。今でもリオには行きたかった思いは強いです。何がダメだったかといわれたときに、明らかに自分に足りないものがありました。それは一人でタイムを出す力です。それは、今でもまだついてないです。一人でタイムを出しにいく力をつけるために、自分で練習しています。リオパラリンピックに行けなかったことで、自分の欠点が浮き彫りになって、欠点の克服に努めようと思ったので、そういう点ではプラスにはなったと思います」

車いす女子優勝のアマンダ選手。フィニッシュした瞬間は、自分が勝利したかどうか確信は持てなかったと話した。

車いす女子優勝のアマンダ選手。フィニッシュした瞬間は、自分が勝利したかどうか確信は持てなかったと話した。

アマンダ・マグロリー選手は、「今朝、目覚めた時、非常にナーバスでした。2016年のリオパラリンピックを含む非常に忙しいシーズンを終えて以降、長い休養をとっていたからです。そのため前半は、抑えめに走りました。終盤になるにつれて、あと1回はスプリント勝負ができるけれども、それ以上はダメだということが分かってきました。勝負をどこでかけるか考えました。勝利を確信した瞬間はありませんでした。最後はとにかく一生懸命に漕いでいて、下を向いていましたので、ゴールテープに触れたことを感じたくらいです。フィニッシュした後しばらく経ってから、スタッフの方から、“あなたが1位ですよ“と札を掛けてくれて、分かりました。嬉しいサプライズでした」と話した。

(取材・会見撮影:河原レイカ)