男子T54・鈴木朋樹選手

男子T54・鈴木朋樹選手

パラ陸上世界選手権(11月9日)、男子T54の鈴木朋樹選手(トヨタ自動車)は、メイン種目に位置付けている800mで決勝に進出した。
今シーズン強化を進めてきたスタートは、世界トップクラスの選手たちと互角の速さで飛び出した。しかし、スタートから100m以降、予想以上のハイスピードになり、集団の中で思い通りの位置取りができず、「いっぱい、いっぱいになってしまった」と鈴木。集団の後方から追いかけるかたちとなり、結果は8位に終わった。

鈴木は800m決勝の反省点を1500mに活かした。
1500m予選では、スタートで飛び出すと、自身で集団のペースをつくりつつ、中国代表選手の最終周のスパートに対応できるよう備えて対応し、着順2着で決勝に進出した。
1500m決勝(11月11日)は、スタートの後、スイスのマルセルフグ選手、アメリカのダニエル選手の後ろ、3番手の位置につけた。そのまま最終周に入ったが、タイのプラワット選手が一気に加速して、これに中国の選手も続き、マルセル、ダニエル、鈴木を抜き去る展開となった。

1500m決勝の結果は、800m決勝の結果と同じ8位。
しかし、800m決勝と1500m決勝でレースが持つ意味は、大きく異なる。
「1500m決勝は、今、出せる力は出し切ったと思います」と鈴木。
昨シーズンまでの自分の力では、レースの序盤で集団の3番手の位置を獲ることはできなかった。
スタートに関しては、世界トップクラスの選手と肩を並べる程度にまで力をつけている。

鈴木は、2019年4月のパラ陸上・マラソン世界選手権兼ロンドンマラソンで3位に入り、2020年東京パラリンピック出場国枠を獲得。
今回のパラ陸上世界選手権は、東京パラリンピックの「リハーサル」と位置づけて臨んでいた。
800m決勝では、世界トップクラスの選手に力負けしたが、自分の実力を再確認することができたという。
最高速度をさらに上げることや、上げた速度を持続して走る持久力などが課題だが、2020年に向けて自身の強化プランは、すでに作成済み。今大会で得た経験を踏まえて、着実に準備を進めていく。

【鈴木朋樹選手の主な結果】
■800m決勝8位(記録1分36秒49)
1位Romanchuk Daniel選手(USA)記録1分32秒81
2位Hug Marcel選手(スイス)記録1分32秒89
3位Zhang Yong選手(中国)記録1分33秒05

■1500m決勝8位(記録3分03秒71)

1位WahoramPrawat選手(タイ)3分00秒20
2位ZhangYong選手(中国)3分00秒89
3位HugMarcel(スイス)3分01秒26

(取材:河原レイカ)
(撮影:小川和行)