廣道純選手

廣道純選手

陸上・T53の廣道純(ひろみち・じゅん)選手は、
2016年のリオパラリンピックを見すえて、
フォームの変更に取り組みはじめたところだ。

20数年の競技歴のなかで、
廣道選手にとって、これまでにない挑戦。
それは、自分自身との戦いといえるのかもしれない。

■リオを見すえた挑戦のなかで

 リオパラリンピックまでのスパンでみて、今、自分が変えないといけないと思うところをやり始めたところです。フォーム、ポジションを変えて、リオに向けて上げていこうとしています。

 これまではフォームを考える必要はなかったし、練習して自然にできてくるのが自分のフォームだと思っていました。練習を積んでいくなかで、走りやすいフォームを、体が勝手につくりだしてくれる。そのフォームが理想だと思っていたんです。

 ただ、結果を出したものが基準になる。
今は、どう走っても、国内では樋口政幸選手(T54)に勝てる気がしない。
じゃあ、一番、速い選手がやっている方法を取り入れたほうがいいのかなというところです。でも、障害のクラスが違うT53で取り入れても速くなれるのか、自分も同じ方法を取り入れたら伸びしろがあるのか、そこは、分からないです。

これまでは自分の方法でやって自分で結果を出してきましたから、自分が考えたものではないものを取り入れるのは、正直、怖いです。
20数年間やってきたことが間違いだったというくらい、変えないといけない。精神的に辛いし、怖いですね。
仮に、それが本当に良い方法だったとしても、自分のものにするまでに時間がかかると思います。「これで本当に速くなるのか?」「これでいいのか?」と思いながら、我慢しながら、取り組んでいるところです。

アジアパラ競技大会は、リオパラリンピックへの通過点だと思います。
フォームの変更を始めたところで、アジアパラに100%あわせられるかというと、まだ、どうかな、不安のほうが大きいです。中国や韓国、タイの選手がでてくるなかで、自分がどのあたりを走れるかですね。

(2014年9月/取材・撮影 河原由香里)