日本代表チームの強化合宿。新ルールへの対応も検討。

日本代表チームの強化合宿。新ルールへの対応も検討。

ゴールボール日本代表チームは1月11日から13日まで国立障害者リハビリテーションセンターで強化合宿を行った。2014年は、6月に世界選手権、10月にアジアパラゲームスを控えており、これらの国際大会には2016年開催のリオ・パラリンピック出場権獲得が掛かっている。IBSA(International Blind Sports Federation)が1月に2014年から2017年まで適応される新しいルールを発表しており、国際大会を戦っていくうえで、この新ルールへの対応も必要になっている。

2014年の日本代表男子チームの抱負を、キャプテンの信澤用秀選手と、池田貴ヘッドコーチに聞いた。


■勝つために統率されたチームをつくる

 

みんなで守り、みんなで点を獲りに行くチームを目指す。男子チーム・信澤キャプテン。

みんなで守り、みんなで点を獲りに行くチームを目指す。男子チーム・信澤キャプテン。

――2014年、新年最初の強化合宿ですが、どのようなねらいを持っていますか。

〇信澤用秀キャプテン(以下、信澤):
今回は、今年1月からゴールボールのルールが変更された部分がありましたので、それに関するシフトの見直しをしています。
これまで守備の範囲はゴールの前3mまでだったんですが、今年から6mまで前方に出てもよいことになりました。これまで左右の動きで守備をしていましたが、前後の動きが入ってくることになりますので、各自の動きの確認をして、さらに前に出た場合にどのような弱点があるか、利点があるかを見つけていこうとしています。
これまでとまったく違うわけではなく、これまでどおりの動き(シフト)と新しいルールに対応したシフトとを使い分けていくことになると思います。

――日本代表男子チームとしては、どのような点を課題としていますか。

〇信澤:
野球やサッカーなど他の競技でも同じだと思うのですが、海外の選手の個人技、身体能力はすごいです。それに勝つためには、日本は統率されたチームをつくっていくことだと思います。
僕らが1点獲る間に、3点獲られていては勝てない。まともに戦っていては勝てないし、守れなければ勝てません。とにかく失点を少なくすることだと思っています。守れるチームになるために、新たなシフトをつくろうとしています。日本らしく戦うために、みんなで守って、みんなで1点を獲っていくことが重要だと思います。
今年は6月に世界選手権、10月がアジアパラゲームスがあります。両方ともリオ・パラリンピックの出場権がかかっているので、そこを目指していきたいと思います。

■新ルールは、自分たちに有利なものに

新ルールを自分たちに有利なものにしたい。池田ヘッドコーチ。

新ルールを自分たちに有利なものにしたい。池田ヘッドコーチ。

―どのようなチームづくりをしようと考えていますか。今年の抱負も教えてください。

〇池田貴ヘッドコーチ(以下、池田)
昨年、2013年はリオ・パラリンピックまでの4年間に向かう1年目ということで、ロンドンパラリンピックで女子チームのコーチをしていた市川喬一を招いて、指導体制を強化しました。選手の意識も変えてきて、厳しさのある、引き締まった雰囲気がチーム内につくられてきています。

日本には、日本らしいディフェンスや攻撃の仕方があると考えています。これまで海外のチームと戦った結果で10点獲られて、4点しか獲れないというスコアだったものを、失点を8点に抑え、こちらは6点、7点獲っていく。まずは失点を抑えていく。速いテンポの攻撃で僕らが支配できるようにしていくことです。

そのために、選手一人ひとりが攻守のシステムやポジションの役割を理解し、コートに立ったときは、フルに動き回ることだと思います。
去年から徹底してきていますが、それを今年も引き続きやっていきます。
今回の合宿でも、選手には、日ごろの個人のトレーニングの環境をよくして、自分に厳しくやっていくように話したところです。

〇池田:
もう一つは、新ルールへの対応が必要だと思っています。今年1月に公表された新ルールは2014年から2017年まで適応されるルールで、世界選手権もリオパラリンピックもこの新ルールで行われます。
これまでと変わることを、受け身でとっても仕方がありません。自分たちに有利なものにしていくことだと思います。これを積極的に活用していこうと取り組んでいます。

新ルールの場合、対戦相手からのボールが出てくる位置が把握できれば、コースを読んで、より前方に出ることができ、しっかり守ることができます。ただ、前に出れば出るほど、より早くボールが自分の体に当たるわけですから、それに遅れてはいけません。裏に回り込まれた場合はフォローをしなければいけませんし、そうしたリスクもあります。

新ルールに対応して他国のチームがどんなことを考えてくるのか、僕らは将棋のように何手先までも考えておかなければいけないと思います。選手からも意見を出してもらって、検証していきたいです。
6月の世界選手権までにどれだけできるかですね。

チームとしては、日本は他の国にできないもの、オリジナルなものをやりたいです。
相手チームをびっくりさせるものをつくりたいですね。まずは、世界選手権上位3位までに入りたいと思います。 (取材・撮影/河原由香里)