宮城MAX 藤本怜央選手

宮城MAX 藤本怜央選手

内閣総理大臣杯争奪第45回記念日本車椅子バスケットボール選手権大会・決勝は、宮城MAX(宮城県)とNO EXCUSE(東京都)が対戦。第4ピリオドの終盤までもつれる接戦となった。第3ピリオド終了時、39対41で NO EXCUSEがリード。僅差で迎えた最終ピリオドは、手に汗握る展開となった。

今大会は、男女混合チームでの出場が可能になったことから、9連覇を狙う宮城MAXは、リオパラリンピック日本代表チームメンバーとして活躍した藤本怜央選手(33歳)、豊島英選手(28歳)、藤井新悟選手(39歳)に、女子の日本代表選手・藤井郁美選手(34歳)を加えたチーム。対する、NO EXCUSEは、宮城MAXの藤本怜央とともに、日本代表チームの攻撃の柱である香西宏昭選手(28歳)に、森谷幸生選手(24歳)、湯浅剛選手(29歳)、池田貴啓選手(30歳)などで構成し、勢いのあるチームだ。

第4ピリオド開始後すぐに、NO EXCUSEのファウルから、宮城MAXの豊島英選手がフリースローを2本とも決めて、41対41の同点。試合の形勢が変わり始めた。
宮城MAXの藤本、藤井郁美、豊島が畳み掛けるように攻め込み、得点を重ねて、試合時間残り3分を切った時点で、51対45まで突き放す。
残り2分41秒でタイムアウトを取ったNO EXCUSEは、森谷、池田が果敢に攻めた。森谷が試合時間残15秒で得点し、53対52まで詰め寄った。

NO EXCUSE 香西宏昭選手(写真右)

NO EXCUSE 香西宏昭選手(写真右)

残り15秒。
チャンスを掴むのは、どちらのチームか。
タイムアウトの後、ファウルからフリースローを得たのは宮城MAXの藤本だった。このチャンスを確実に決め、勝負がついた。

最後の1チャンスを手にした選手と、掴めなかった選手がいた。
試合が終了し、互いのチームの健闘をたたえあった後、
敗れたNO EXCUSEの選手が一人、空を仰ぐように見た。
最後の1チャンスを託されたのであろうその選手は、指先でそっと目頭を押さえた。
熱く光るものが輝いて見えた。

(取材・撮影:河原レイカ)