藤田征樹選手

藤田征樹選手

2015年日本パラサイクリング選手権・トラック大会
(第84回全日本自転車競技選手権大会トラック・レースと併催)が4月11日、
伊豆ベロドローム(静岡県伊豆市)で開催された。

藤田征樹選手(C3/両足膝下切断)は、1kmタイムトライアル、個人パーシュート3kmに出場し、
両種目とも大会新記録。石井雅史選手(C4/高次脳機能障害)も1kmタイムトライアル、
個人パーシュート4kmで大会新記録を出した。

今大会は、パラサイクリングのトラック競技でシーズンの締めくくりとなる大会。
選手たちは、2016年のリオ・パラリンピックを視野に入れながら、今後、ロードの主な国際大会へ参戦する。 

(取材・撮影/河原由香里)

藤田征樹選手 2008年北京パラリンピック銀メダリスト 2012年ロンドンパラリンピック銅メダリスト

藤田征樹選手
2008年北京パラリンピック銀メダリスト
2012年ロンドンパラリンピック銅メダリスト

■藤田征樹選手
個人パーシュート3kmは日本記録更新を狙って走ったんですけど、なかなか途中のペースが上がらなくて届きませんでした。
トラック競技ではシーズン最後の大会で、内容のある走りができたので、次につながる内容になったと思います。

今日は、日本記録を狙うにあたって、序盤のスピードと、中盤から後半のラップが落ちないようにという課題がありました。
前半は良かったんですが、後半はラップタイムが上がらず、ずるずるといってしまいました。

去年から、トレーニングは負荷をかけ、内容を濃くしてやってきて、やってきたことの効果がちょっと出てきたという感じですね。
「ちょっと」なので、まだまだ十分に発揮できていない点、改善すべき点はまだまだあります。
これで終わりじゃなくて、続けていきます。

これからは、ロードシーズンに入ります。ロードの世界選手権が、来年のリオパラリンピックを目指すに
あたっても重要ですので、そこで勝てるようにやっていきたいと思います。

石井雅史選手 2008年北京パラリンピック金メダリスト、元競輪選手

石井雅史選手
2008年北京パラリンピック金メダリスト、元競輪選手

■石井雅史選手
先日のトラック世界選手権では4kmで4分だすことができました。
今回は、4分出せなかったんですけど、途中までは良い感じで来ていました。
これまで見えていなかった4分台が見えてきましたので、これからも少しずつ伸ばしていきたいと思います。

世界選手権で出し切ってしまったので、体調は疲れているところがあったんですけど、
日本選手権で走らせてもらえるということは有り難くて、ベストの走りをしたいと思っていました。
ベストに近い走りができたので良かったと思います。

最近は、他の競技をしていた選手が自転車競技に入ってきてくれたり、
新しい選手も増えていますので、お互いに高めあっていけたらと思っています。

ロードは、TT(タイムトライアル)競技で狙って頑張っていきたいと思います。
ロードの世界選手権は順位に伴って与えられるポイントが高いので、ポイントを獲得して、
リオ・パラリンピックへの日本人選手出場枠を増やし、若い選手にもパラリンピックに出てほしいと思っています。

藤井美穂選手 (C2/片足大腿切断)

藤井美穂選手
(C2/片足大腿切断)

■藤井美穂選手
まだまだだと思うところがたくさんあって、500mのタイムは自己ベストだったりするんですけど、
まだまだ納得できないです。「自分はこんなものではない」と思ったので、もっと練習したいと思いました。
ロードが苦手なので、これからはロードも好きになれるように頑張っていきたいと思います。

個人パーシュート4km表彰台。 写真左から 2位 阿部学宏選手、1位石井雅史選手、3位 小池岳太選手。

個人パーシュート4km表彰台。
写真左から
2位 阿部学宏選手、1位石井雅史選手、3位 小池岳太選手。

■阿部学宏選手(写真左)
昨年よりも練習できておらず、記録的には残念だったので、これをきっかけにまた来年にむけて練習していきたいです。
自分の記録を少しでも更新できるように日々努力していきたいと思います。

■小池岳太選手(写真右)
今まで、アルペンスキーで挑戦をしていて、新たに自転車競技に挑戦しています。
今大会に初めて出場させていただきました。トラック競技に出させていただいて、
本当に神聖な大会ですので、出場させていただいたことと、タイム的には足元にも
及ばないんですけど表彰台に上がらせていただいてうれしく思います。

今後、トレーニングを頑張って、先輩方に少しでもくっついていけるように頑張って
いきたいです。パラリンピックを目指していますが、まだ目指せるレベルじゃないので、
目指せるレベルになれるように日々の練習をやっていきたいと思います。

個人パーシュート3km 左から、2位 相園健太郎選手、1位 藤田征樹選手、3位 藤井美穂選手。

個人パーシュート3km
左から、2位 相園健太郎選手、1位 藤田征樹選手、3位 藤井美穂選手。

■相園健太郎選手(写真左)
初めての大会だったんですけど、今の実力で、一番の走りができたのでよかったと思います。
一番の目標は、5年後の東京パラリンピックでメダルを獲ることなので、
それにむかってかなり練習していきたいと思います。藤田さんに少しでも追いつけるように頑張りたいです。

【結果】

■500mタイムトライアル
1位 藤井美穂 (C2)54.702

■1kmタイムトライアル
1位 藤田征樹 (C3)1:12.736(係数タイム1:07.906)大会新記録
2位 石井雅史 (C4)1:09.845(係数タイム1:08.846)大会新記録
3位 阿部学宏 (C5)1:16.418(係数タイム1:16.418)

■個人パーシュート3km
1位 藤田征樹 (C3)3:41.565(係数タイム3:41.565)大会新記録
2位 相園健太郎(C3)4:25.413(係数タイム4:25.413)
3位 藤井美穂 (C2)5:21.865(係数タイム 4:30.591)

■個人パーシュート4km
1位 石井雅史 (C4)5:02.137(係数タイム4:57.816)大会新記録
2位 阿部学宏 (C5)5:27.198(係数タイム5:27.198)
3位 小池岳太 (C5)6.05.830(係数タイム6:05.830)

※括弧内( )は、競技のクラス
Cクラスは、二輪自転車で、切断、機能障害、麻痺などの四肢障害の選手が含まれる。
C1~5までに分類されている。

※パラサイクリングのトラック競技は、Cクラス、Bクラス(視覚障害・2人乗り自転車タンデムを使用)
で実施されている。種目は①タイムトライアル、②個人パーシュート、③タンデムスプリント、
④チームスプリント、⑤スクラッチがある。

今大会では、タイムトライアルと、個人パーシュートが実施。

個人パーシュート(個人追い抜き競走)とは、ホームストレッチと、バックストレッチから相対する
2名の選手が合図とともにスタートし、互いに前にいる選手を追い抜くレース。追いつかない場合は、
所定の距離を完走し、そのタイムの優劣で順位を決める。