男子66kg級瀬戸(左)が藤本(右)を破り、優勝

男子66kg級瀬戸(左)が藤本(右)を破り、優勝

第33回全日本視覚障害者柔道大会が12月23日、講道館で開催された。
男子66kg級は、瀬戸勇次郎選手(18歳、福岡教育大学)が、準決勝でリオ・パラリンピック男子60kg級の銀メダリスト廣瀬誠選手(42歳、愛知県立名古屋盲学校)、決勝でリオ・パラリンピック銅メダリストの藤本聰選手(43歳、徳島視覚支援学校)を破り、優勝した。

男子66kgの予選リーグ戦は1組は、藤本、廣瀬に、斉藤大起選手(23歳、サイバーコミュニケーションズ)、北京パラリンピック90kg級日本代表の初瀬勇輔選手(37歳、スタイルエッジ)が階級を下げて参戦。
藤本と廣瀬は、2012年のロンドンパラリンピック日本代表を争ったこともあり、互いをよく知る同士。
予選リーグ第1組の初戦から決勝のような熱い対戦となった。
互いに譲らず、ゴールデンスコア方式の延長に突入し、藤本が技ありを獲った。
一方、予選リーグ2組は出場予定4選手中2選手が欠場。
瀬戸は、加藤勝紀選手(49歳)を破って、決勝トーナメントに上がっていた。

「今大会は、藤本さんに勝つことが目標だった」と瀬戸。
昨年の全日本、今年6月に行われたアジアパラ競技大会・IBSA柔道世界選手権等の日本代表選考大会で、藤本に敗れていたことから、今大会こそと考えていた。
藤本との決勝では、「全然、技に入らせてもらえなかったが、予選で藤本さんが体力を削られていたので、そこを狙っていこうと思いました」と話した。
決勝での勝因を尋ねられた瀬戸は「体力」と答えた。今大会の優勝で、瀬戸は2019年3月に予定されている国際大会が日本代表としてのデビュー戦になる予定。10代の新星が、2020年東京パラリンピックの日本代表を争いに名乗りを挙げた。

男子73kg級は、永井が優勝

男子73kg級は、永井が優勝

女子52kg級、石井(右)と藤原(左)

女子52kg級、石井(右)と藤原(左)

女子48kg級(出場2選手)は、半谷静香選手(30歳、エイベックス・グループ・ホールディングス)と島田沙和選手(17歳、神戸市立盲学校)が対戦し、半谷が優勝した。女子52kg級(出場2選手)は、石井亜弧選手(29歳、三井住友海上あいおい生命保険)が藤原由衣選手(25歳、各務原市柔道協会)を破り、優勝した。
勝負には敗れたものの、48kg級の島田、52kg級の藤原ともに健闘した。
背負い投げを得意とする島田は、「技をかけきれなかった」と反省点を挙げた。
今年はアジアパラ競技大会、IBSA柔道世界選手に出場したものの、いずれも1回戦負けに終わったことから、力の強い海外勢に負けないように力をつけたいと考えている。
藤原は、昨年の全日本は57kg級で出場したが、今回は52kg級に下げて挑んだ。
藤原は、石井との対戦で前半、小内刈で技ありを獲ったものの、「後半は、ばててしまい、相手の流れに飲まれてしまいました」と話した。ただし、昨年の全日本よりは、成長できたとも感じている。競技人口は少ないが、女子の2020年東京パラリンピックの日本代表選考も熱い戦いになりそうだ。

【結果】
優勝

男子60kg級 平井孝明(27歳)
男子66kg級 瀬戸勇次郎(18歳)
男子73kg級 永井崇匡(23歳)
男子81kg級 北薗新光(27歳)
男子90kg級 廣瀬悠(39歳)
男子100kg級 林芳映(36歳)
男子100kg超級 正木健人(31歳)

男子シニア
牛窪多喜男(68歳)

女子
48kg級 半谷静香(30歳)
52kg級 石井亜弧(29歳)
57kg級 廣瀬順子(28歳)
63kg級 工藤博子(33歳)
70kg級 小川和沙(21歳)
70kg超級 土屋美奈子(28歳)

(取材・撮影:河原レイカ)