男子73kg、優勝は瀬戸

視覚障害者柔道の国際ルールは今年1月、大きな変更があった。これまで競技の実施に当たり視覚障害の程度によるクラス分けがなかったが、J1(全盲)とJ2(弱視)の2つのクラスに分けることになった。また、体重別の階級も従来男子7階級、女子6階級から、男女ともに4階級に統合された。アジアパラ競技大会やパラリンピックなど今後開催される国際大会では、この新たなルールのもとで実施される。
9月11日に開催された第37回全日本視覚障害柔道大会は、この新たな国際ルールのうち体重別の階級変更が導入される形で開催された。
 男子の階級は従来の7階級((60kg、66kg、73kg、81kg、90kg、100kg、100kg超)が60kg、73kg、90kg、90kg超に統合された。昨年夏に開催された東京パラリンピックで男子66kg級銅メダルを獲得した瀬戸勇次郎は、73kg級に変更して出場。瀬戸は、同じく66kg級から73kg級に移行した藤本聡(2016年リオ・パラリンピック男子66kg級銅メダリスト)など3選手と対戦し、全勝で優勝した。

女子57kg、廣瀬順子が優勝


 女子は、従来の6階級(48kg、52kg、57kg、63kg、70kg、70kg超)から48kg、57kg、70kg、70kg超になった。この結果、今大会では57kgに出場選手が集中。女子の出場選手計9人のうち、5人が57kgを選択し、東京パラリンピック同階級日本代表の廣瀬順子のほか、藤原由衣(東京パラリンピック52kg級日本代表)、工藤博子(同63kg級日本代表)などが対戦した。廣瀬が4戦全勝して優勝。2位に石井亜弧、3位に工藤が入った。
 
 体重別の階級の統合により、自身が従来選んでいた体重の階級が無くなった選手は、体重を増やして上の階級に行くか、減量して下の階級に行くかを選ばなくてはならない。新たな階級に移行した選手は、その階級で対戦して、勝ち抜いていけるような体づくりから始めなくてはならないだろう。
 また、階級の数が少なくなれば、1つの階級に選手が集まり、対戦相手が増えてライバルが増えることになる。これまで以上に、柔道の技を磨く必要もありそうだ。
今後の国際大会では、海外の有力選手たちが階級を変更して出場してくる。戦略や戦術の工夫のために、新たな情報収集などが必要になるのかもしれない。
国際ルールの変更は、視覚障害柔道の対戦にどう影響するのか。有力選手の顔ぶれや試合内容にどのような変化をもたらすのか。今後の国際大会に注目したい。

【第37回全日本視覚障害者柔道大会結果】
■男子60㎏級
 優勝 廣瀬誠
 2位 阿部一輝
 3位 平井孝明
 3位 兼田友博

■男子73㎏級
 優勝 瀬戸勇次郎
 2位 加藤裕司
 3位 藤本聰

■男子90㎏級
 優勝 北薗新光
 2位 松本義和
 3位 松本友和
 3位 佐々木嘉幸

■男子90㎏超級
 優勝 廣瀬悠
 2位 内山輝将
 3位 稻尾仁

■男子無段の部
 優勝 田中司
 2位 中西孝幸
 3位 高橋のぶよき

■女子57㎏級
 優勝 廣瀬順子
 2位 石井亜弧
 3位 工藤博子

■女子70㎏級
 優勝 小川和紗
 2位 土屋美奈子

■女子70㎏超級(出場1人)
 優勝 西村淳未

■女子無段の部 (出場1人)
 優勝 栗原 梢

(取材・撮影:河原レイカ)