大分Aチーム

大分Aチーム

第29回全国車いす駅伝競走大会が3月11日、京都市内で開催され、大分Aチーム(1区:廣道純選手、2区:笹原廣喜選手、3区:佐矢野利明選手、4区:河室隆一選手、5区:渡辺習輔選手)が優勝した。大分Aは、第28回大会に続いて2連覇。記録は46分23だった。

2位は、福岡Aチーム(1区:渡辺勝選手、2区:大津圭介選手、3区:武村浩生選手、4区:山本浩之選手、5区:洞ノ上浩太選手)、3位は、京都Aチーム(1区:寒川進選手、2区:佐野純一郎選手、3区:中井康彦選手、4区:西原宏明選手、5区:馬場和也選手)だった。

全国車いす駅伝競走大会は、宝ヶ池の国際会館前をスタートし、白川通り、今出川通り、東大路通り、丸太町通りなど、京都市の中心エリアを駆け抜け、西京極運動場までの21.3キロを5区間(1区6.4キロ、2区2.8キロ、3区2.4キロ、4区5.8キロ、5区3.9キロ)でつなぐレース。今年は、福岡Aチームが、日本代表経験のある渡辺勝選手、山本浩之選手、洞ノ上浩太選手の3選手を揃えて臨んだことから、福岡Aが優勝の最有力候補に挙がっていた。

大分Aチームは、3区の佐矢野選手が区間賞(5分55)の快走で、4区の河室選手につないだ。走り始めた河室選手の視界には、先頭を走る福岡Aチームの山本浩之選手の背中が入っていた。

4区は、紫明通りから堀川通り、北大路通りへと、登りが続く区間。後半の山場となる4区は、走力のある選手に任せるチームが多い。
福岡Aチームの4区は、2月の東京マラソンで優勝した山本選手だったが、山本の姿を視界にとらえることができたことが、河室の走りを変えた。

「佐矢野選手が、先頭から9秒ほどで中継点に来てくれたのが良かったです。ずっと前を走る選手の姿が見えていましたので、苦しいところを我慢していって、少しずつ前が疲れてきたのが見えたので、一回、勝負しようと前に出ました」と河室。
山本に追いつき、追い抜いて、自身初の区間賞(11分23)を獲得した。

大分Aチーム5区の渡辺習輔選手は、レース展開をラジオで聴きながら待っていた。第1区から第3区までは、廣道、笹原、佐矢野が着実につなぎ、2位に上がってくる予想通りの展開。最終走者の自分にも2位でたすきがつながれると思っていた。しかし、4区の河室は、先頭で中継点に入ってきた。
「中継地点で、河室と、後ろを山本選手との距離を見ていました。5区の前半で頑張ってしまうと、後半で、ばててしまって、一気に速度が落ちてしまうと考えて、平均的に速度を保って走るように心掛けました。力の配分が、良かったかもしれません。以前の大会で、競技場で自分が抜かれて2位になってしまった経験があったので、その二の舞にならないようにと思いました。最後は、ここまで来たら抜かれたくないという意地で走った感じです」と話した。

5区の渡辺習輔選手

5区の渡辺習輔選手

大分Aチームは、大会連覇に向けて自信満々で臨んだわけではなかった。
大分Aチーム1区の廣道純選手は、大会前日、「強豪選手が揃っている福岡Aチームに、1区から逃げられて完全優勝されてしまうのは避けたい。どこかの区間で1回でも大分Aが先頭を獲れたらいいと思っています」と話していた。大分Aチーム内では、「今年の優勝は難しいだろう」という空気もあった。

表彰式で笑顔の1区 廣道純選手

表彰式で笑顔の1区 廣道純選手

しかし、レースは何が起こるか分からない。
駅伝は、チーム戦。
各区間をどうつなぐかが、勝敗を左右する。
結果をみれば、1区の廣道選手、2区の笹原選手が上位で着実につなぎ、3区の佐矢野選手と4区の河室選手が区間賞の走り。最終走者の渡辺選手まで、大きな穴がなく つないだ大分Aの総合力による優勝だった。

(取材・撮影:河原レイカ)