車いす男子 洞ノ上浩太選手 

車いす男子 洞ノ上浩太選手 

東京マラソン2015・車いす男子は、洞ノ上浩太選手が1時間30分23で初優勝。

2位に鈴木朋樹選手(1時間30分36)、3位に吉田竜太選手(1時間30分36)が入った。

レースの序盤は、優勝経験のある副島正純選手、山本浩之選手を含む7選手が先頭集団を形成。
15km過ぎで、洞ノ上、鈴木、吉田の3選手が前に出て、後続を引き離す展開となった。
3選手でのメダル争いは、コースのアップダウンがある35km過ぎから、洞ノ上選手が勝負に出て振り切り、
初優勝した。

車いす女子は、土田和歌子選手が優勝。記録は1時間46分30だった。

■洞ノ上浩太選手の話

『今日はスタートが雨だったんですが、私は雨が降ろうが風が吹こうがあまり関係なく、
スタートから攻めることができました。3選手で逃げるかたちになり、最終的には37km地点で
引き離すことができました』

『前半からスピードを活かして揺さぶりをかけ、それについてきた選手と逃げて、
集団を小さくしていこうかなと考えていました。実際、揺さぶりは自分も何度かしましたし、
他の選手もありました。自分は常に前から3番手につけていたので、危ないことはなく、
他の選手をふるいにかけることができて、よかったです』。

『最初の折り返し15km過ぎで自分が仕掛けた後に、2人(鈴木朋樹選手、吉田竜太選手)
がついてきました。その時に3人vs後ろの集団という、そういう図ができるんです。

こういう場合、先頭の3人で積極的にローテーション(先頭を交代)して、メダルを確定させよう
という動きになります。自分は余裕があったので、2人が前に出た時は、「少しいったら、先頭を代われよ」
と声をかけて、「一気に、後続から逃げるぞ」という感じでした。

自分は、車いすマラソンは自転車競技だと思っているんです。
「チームで戦う」ということ言っているんです。こういう時は、自分には経験あるので積極的に
声をかけていきました』

『浅草をまわってきた時(30km過ぎ)に後ろの集団と1分ほど空いていたので、そこから先の残り
7kmは3人でのメダルの色の争いです。そこで自分が仕掛けて、自分が優勝を獲りにいきました。
東京マラソンは何度か表彰台に上がっているんですが、やっと優勝することができました』

『今年は、4月のロンドンマラソンが世界選手権を兼ねています。
おそらく、そこがリオの日本代表選考大会になると思いますので、そこに照準をあわせていきたいです。

今回の結果は、海外の選手にもわかっているのでマークされると思いますが、マークされても勝てる
ようにしたいです』

車いす女子・土田和歌子選手

車いす女子・土田和歌子選手

■土田和歌子選手の話

『今日はスタートが雨だったため、雨の対策をして臨みましたが、滑り止めに使う松脂をつけすぎて、
ひっかかりが強すぎてスピードに乗らかなったのかなと思います。
そこは反省点としてあるんですけれども、しっかりペースをつくって、ゴールができたことはよかった
と思います』

『今年は、女子選手が一人での参加でしたが、男子選手のペースをみながら走れるレースになりました。
来年からは東京マラソンの国際化がはかられるとのことですので、自分もしっかり強化して、多くの選手と
走れるように取り組んでいきたいと思います』。

『今年のメインレースとして、上半期は4月に世界選手権を兼ねるロンドンマラソンがあります。
そこにしっかり照準をあわせられるように、東京マラソンは今期の第一戦として、自分がどこまでやれる
のかをみるレースでした。

ワールドメジャーのマラソンの中でも、東京マラソンは走りやすいコースです。状態も良かったので、
タイムも狙っていきたいと思っていましたが、ちょっと条件がそろいませんでした』。

『自分のテーマとしては、最初の10kmはスピードが出るコースですので、どこまで高いアベレージ
(平均速度)で走れるかということがあったんですけど、今回、ちょっとスピードに乗りきれなかった
かなと思います。

35km過ぎの佃大橋などの上りも好きなんですが、得意なところでも力を発揮できなかったことが、
タイムにつながらなかった原因かと思います』

『昨年10月から八千代工業に所属して、レーサーを変えています。
昨年まではアルミ製だったんですが、今期は、カーボン製に乗っています。

素材が異なるので体にあわせることが難しいところがあったんですが、
3~4カ月経ち、少しずつ体に馴染んでいるところです。

ただ、私は、道具を使った競技は道具だけでもダメ、体だけでもダメ、すべてを兼ね備え
なければスピードは出ないと思っています。

乗り物だけ進化してもダメで、そこに自分の体をあわせていけるかが、選手の力量だと
思っています』

『東京マラソンは沿道の声援が多く、声援が途切れることなく応援していただける大会
だと思います。

車いすのランナーは、一般のランナーより5分スタートが早いので、応援する方も沿道に
早めに出ていただかないといけない中で、たくさんの方に応援していただいています。

最近では、「土田さん」とか、下の名前で「和歌子さん」「わこちゃん」とか呼んで
くださる方も多く、後押しされています。楽しんで走れるレースです』

(取材・撮影/河原由香里)