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ドバイで開催されたアジアユースパラ競技大会で、ゴールボール男子・日本は、予選リーグでイランと中国に敗れ、決勝トーナメントには進めなかった。

アジアユースパラの日本代表チームは、日本ゴールボール協会の強化指定選手の金子和也選手、佐野優人選手を中心に構成。ただし、金子選手以外は、海外で試合をするのは初めてというチームだった。
日本は、予選リーグでイラク、中国、イランと対戦。初戦のイラク戦は、日本のスピードを活かした攻撃で得点を重ね、15対8で勝利した。しかし、2戦目のイラン戦では、身長が高いイランの選手たちの手足の先まで使う徹底したディフェンスに阻まれ、3対9で敗れた。3戦目の対戦相手の中国には、適格なタイミングでバウンドボールで攻められ、1対11でコールド負けだった。
ユース世代の選手たちは、2020年のパラリンピック東京大会や、その次の2024年のパリ大会で日本代表を担う可能性がある。アジアユースパラ競技大会は、アジアの他国チームの同世代の選手たちと対戦し、現時点での自分たちの実力を確認できる機会でもある。

金子選手は、今大会を振り返り、「さまざまな経験ができて良かったと思います。初戦は最初から最後まで良い流れで勝つことができました。勝利という経験をしました。2試合目は悪い流れを感じて、敗北という経験をしました。3試合目の中国戦は、自分たちは全力でぶつかり、それでも手が届かなかったという悔しい経験です。これらを糧とバネにして、これからの2020年に向けて、良いステップアップができると思いました」と話した。

佐野選手は、今大会で、初めて海外での試合を経験し、日本代表としての自覚や覚悟、技術面でも足りない点があったと痛感。「日本代表を背負えたといえるほどではありませんでした。少しは自分の力を出せたところもありましたが、海外のチームと比べると、まだまだ課題がたくさんありました」とコメント。今大会では、海外のチームとの差を実感したが、精神面、技術面、体力面を一から鍛え直し、2020年の東京パラリンピックを視野に入れつつ、目の前の一つ一つの大会をしっかりこなしていきたいと話した。

ヘッドコーチを務めた工藤力也さんは、今大会について、「中国、イラン、タイの3か国の競技レベルが、10代のチームで、ここまで高いとは思っていなかったです。日本のユースの選手は、これから日本のゴールボールを背負う立場になると思うんですけど、アジアの他国のレベルの高さを肌で感じられたことは収穫になりました。個人の意欲や、日本ゴールボール協会の選手の強化の仕方が、今のままでは現在の差を埋めることができないと思います。このままでは間に合わないということを実感した大会でした」と総括した。
工藤さんによると、タイ代表チームは、アジアの中では5番手くらいの位置にいるチームだが、ユースのタイは、強豪中国と互角の戦いができていた。タイのユースの選手たちの身長は、日本のユースの選手たちとほぼ変わらない。タイの戦いぶりは、体格差があっても、高身長の選手が多いイランや中国と十分に戦えることを示してくれたという。

今大会の敗戦から得ることができたものは、何だったのか。
それは、次の戦いに活かすことができて、初めて意味を持つ。

予選グループ(中国、イラン、日本、イラク)
予選グループ(韓国、タイ、サウジアラビア、トルクメニスタン)

【取材・撮影/河原レイカ】