マルセル・フグ(スイス)

東京パラリンピック(8月31日)陸上・男子T54(車いす)1500m決勝で、マルセル・フグ(スイス)が2分49秒55の世界新記録をマークして優勝した。マルセルは5000mに続き、今大会2つ目の金メダルを獲得した。

マルセルは今大会、これまでの出場種目で圧倒的な強さを見せている。集団内でスピードの上げ下げをして他の選手たちに揺さぶりをかけ、ラストスパートに備えて他の選手の様子を見ながら力を温存して走る余裕があり、ゴール前の直線では2着以下の選手とはっきりと差をつけている。1500mのこれまでの世界記録は2分51秒84だったが、2秒以上縮め、2分50秒を切った。

レースは、スタート直後、今大会400m金メダルを獲得しているダニエル・ロマンチャック(アメリカ)を先頭に飛びだし、一時、独走体制になったが、すぐにマルセルが差を詰めてダニエルの後ろについた。残り300m付近からマルセルが先頭に出て、他の選手たちと差を開いていった。後続の選手たちの集団内から、プラワット・ワホラーム(タイ) が前に出て2着。 プータレート・コンラック(タイ) は中国の選手を交わし、プラワットに続いてゴールした。

日本の鈴木朋樹は、スタートから1周目、先頭から3番手か4番手の位置についた。しかし、2周目に入ると他の選手たちのスピードが一気に上がり、集団の最後尾に後退。他の選手たちを追いかけて走る形となり、9着だった。記録2分53秒60は自己ベスト更新。

鈴木朋樹


(文・河原レイカ)(写真提供:小川和行)