「久しぶり」
ジャパンパラ陸上競技大会・走り高跳びに出場した鈴木徹選手(T44)に、関係者から、こんな声がかけられた。
国内の主な陸上大会である「チャレンジ陸上大会2013」(4月、熊本市)、「日本身体障害者陸上競技選手権大会」(6月、大阪市)いずれもエントリーをしていたが、競技場に鈴木の姿はなかった。

鈴木は、“義足のハイジャンパー”として、注目が集まる選手の一人。
ロンドンパラリンピックの後は、講演や関係者への挨拶など多忙な日々を送った。その後、練習を開始しようとした時期に腰の故障があり、体の不調も重なって、競技に向かう気持ちを維持できなかったという。

「ロンドンが終わった後は、腰の故障もあり、一回、気持ちが切れてしまいました」。
「いつか、そういう時もあるかなと思っていたので、別に焦らずに。気持ちが上がってくるのを待っていました」と鈴木。
7月の世界選手権で山本篤選手(T42)が走り幅跳びで金メダル獲得したことや、世界陸上のモスクワ大会を見たことが刺激となり、「もう一度、世界にチャレンジしたい」という気持ちも沸いてきた。

ジャパンパラの記録は1m90。
久しぶりの大会出場だったが、自身の状態はそれほど変化がなく、思ったより良い調整ができたと感じている。
「まだ衰えは感じていないので、一年一年、続けていこうと思います」
鈴木の表情は、晴れやかだった。

(取材・撮影 河原由香里)

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