2013ジャパンパラ陸上競技大会が9月7日、8日の2日間、 山口県の維新百年記念公園陸上競技場で開催された。 7月にフランス・リヨンで開催された陸上世界選手権に出場した選手たちにとって、 ジャパンパラは、次の目標を念頭に置きつつ、現在の自身の状態を確認する場となったようだ。

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出場種目すべてで優勝した樋口選手

■世界のトップをねらえる位置へ
樋口政幸選手(T54)

世界選手権5000mで銀メダル、1500mで銅メダルを獲得した樋口政幸選手、10000mで銀メダルの渡辺勝選手。
リヨンで結果を残したT54のふたりが今大会に出場した。

樋口選手は、400m、800m、1500m、5000mに出場し、すべての種目で優勝。
記録は、400m50秒70、800m1分43.42、1500m3分07.05、5000m11分35.82だった。
今年の目標の1つに掲げていた1500mでの日本記録(2分59.84)の更新は実現できなかったが、
ロンドンパラリンピック以降、グローブを変更するなど、自身の走りを根本的に変えてきた取り組みは、
一定の成果に結びついているといえるだろう。

ただし、樋口の視線の先にあるのは、世界のトップとの戦いだ。
「リヨンの世界選手権で自分の力が通用するとわかった部分もありますが、それ以上に、
自分がまだまだ遅いと感じました。マルセル選手(800m、1500m、5000mの世界記録保持者)には、
今は、どうやっても勝てないですから…。その差をつめるために、とにかくスプリント強化をしていきたいです」。
当面、マラソンへの出場は自粛する考えで、冬季は一から体を作り直すつもりだという。

■リオでのメダルを目指し、前進
渡辺勝選手(T54)

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競技後、取材に応じる渡辺勝選手

渡辺勝選手は、200m、400m、800m、1500m、5000mに出場。
結果は、200m2位(記録28秒06)、400m2位(51秒69)、800m3位(1分52.32)、
1500m5位(3分22.50)、5000m3位(12分23.45)だった。

「タイムは、今シーズンのワーストばかりですし、順位も、練習していないとこうなるという感じだったので、
逆に良い結果が出なくてよかったなと思っています」。
「もし、ここで良いタイムが出ていたら、練習しなくてもある程度はいけるという隙がでるというのがあるので。
それなりの結果が出て、個人的には満足しています」。
世界選手権の後、トレーニングメニューを大幅に変更した。
筋トレによる体づくり中心とし、レーサーによる走り込みをしていなかったという。

自身の状態や結果を冷静にとらえる渡辺の視線の先にあるのも、世界トップとの戦いだ。
「世界では、短距離で勝つ力のある選手しか、中長距離やマラソンで勝っていないです。
長距離で勝ちたいなら、短距離で勝たなければいけないと思って、しばらくは短距離に絞っていこうかな
と思っています」。

渡辺は、2016年にブラジル・リオで開催されるパラリンピックに向けて、前進している。
「リオでの金メダルしか見ていないんで、そこへのプロセスを、今、進んでいる状態です」。

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写真は左から、400m2位の渡辺勝選手、1位の樋口政幸選手、3位の永尾嘉章選手

(取材・撮影:河原由香里)