男子66kg優勝の瀬戸選手

男子66kg優勝の瀬戸選手

第34回全日本視覚障害者柔道大会が12月8日、東京の講道館で開催され、男子66kg級は瀬戸勇次郎選手(19歳・福岡教育大学)が優勝した。
男子66kg級は5人の選手によるリーグ戦。注目は、瀬戸と2016年のリオ・パラリンピック銅メダリストの藤本聰選手(44歳・徳島県立徳島視覚支援学校)の対戦だった。前半は、藤本のペースで試合が展開。瀬戸は積極的に攻めることができない状態が続いたが、藤本の技の返しで入った背負い投げを決め、合わせ技で一本をとった。

「試合の内容が良くなかったですが、勝てて、ほっとしました」と瀬戸。
藤本の攻めが続いて先行され、焦りを感じる場面があった。
技の返しで何度か背負いを狙っていたものの、藤本に防がれていた。決めた背負い投げも、「だめもと」で入った技だったという。

2020年の東京パラリンピックの日本代表は、国際ランキングの上位者が選ばれることになっている。2020年4月にイギリスで開催される国際大会での勝敗により、瀬戸と藤本の順位が確定し、日本代表が決まる予定だ。

瀬戸は、「藤本選手はライバルだと思っています。2年前、この大会で藤本さんと最初に対戦した時に格の違いをみせつけられて、しばらく、この人が目標だと思ってやってきました」と話す。藤本に勝利したことは、自信になっているという。
東京パラリンピック出場については、「先のことは意識しすぎないように、目の前の一つ一つをやっていくだけです」と話した。

前半、攻めつづける藤本

前半、攻めつづける藤本

瀬戸に敗れた藤本は、「負けたことは仕方がないです。決められなかった自分が悪かったんですが、チャンスはあったと思います。練習してきた成果は出せましたし、今後につながるような自信を得ることはできたと思います」と話した。

アトランタ(1996年)、シドニー(2000年)、アテネ(2004年)のパラリンピック3大会連続で金メダルを獲得、北京大会(2008年)は銀メダル、リオ大会(2016年)銅メダルを獲得するなど輝かしい成績をおさめてきた藤本だが、瀬戸よりも国際大会の経験が豊富な点について問われると、「リオ・パラリンピック以降、世界のレベルが一気に上がっているので、昔のことや経験なんて一切、役に立たないです。必死にやっていくだけ。必ず東京パラリンピックに出るつもりで、残り3カ月半、しっかり煮詰めていきたいと思います」と答えた。

(取材:河原レイカ)
(撮影:小川和行)