川上秀太(写真提供:小川和行、4月30日:日本パラ陸上競技選手権大会200m)

パラ陸上の視覚障害男子T13 クラスで注目を集めている選手がいる。川上秀太(アスピカ)、福永凌太(中京大クラブ)の2選手で、この数年で100m、400m、走り幅跳びの従来の日本記録を塗り替える記録を出し、頭角を現わした。川上、福永はこのほど、今年7月にフランス・パリで開催されるパラ陸上の世界選手権の日本代表選手に選ばれた。

パラ陸上では、視覚障害の選手は障害の程度に応じて3つのクラスに分けられ、各クラスごとに競技を行う。クラスはアルファベット1文字(T=トラック種目、F=フィールド種目)と2桁の数字で示され、2桁の1の位の数字が小さいほうが障害の程度は重い。視覚障害のクラスはT11、T12、T13(フィールド種目はF11、F12、F13)と表す。川上と福永はT13クラスの選手で、2023年5月現在、川上は100m、福永は400mと走り幅跳びの日本記録をそれぞれ保持している。

◆100m10秒台のスプリンター

 男子T13クラス100m10秒81で、パラ陸上の世界ランキング2位(5月現在)につけているのが川上秀太だ。

 4月29日30日に神戸で開催された日本パラ陸上競技選手権大会の100mは10秒98だったが、川上は、「タイムは遅かったが、向かい風2.0mの条件のもとで10秒台で走れたので良かったと思います」と話した。今シーズンこれまでの大会で出したタイムを振り返り、100m10秒台で安定して走れている点を評価、パラ陸上世界選手権ではメダル獲得が狙えると考えている。

 自身の強みは、100mの中盤から後半にかけてスピードを維持して走れるという点。スタートから前半の走りを強化することで、さらに好タイムを狙えるとしている。川上は、パラ陸上の大会だけではなく、オリンピックの日本代表選手なども出場する日本陸上競技選手権大会の参加標準記録(2023年開催の第107回大会男子100mは10秒39)突破を目指したいと話した。

福永凌太(4月29日、日本パラ陸上競技選手権大会、撮影:河原レイカ)

◆本命は400m、メダルは射程圏内

 日本パラ陸上競技選手権大会で、福永凌太は走り幅跳びで6m90の日本新記録。400mでは48秒34の日本新記録・アジア新記録をマークした。走り幅跳びは、春先に腰を痛めたため練習が十分に積めていない状態で臨んだが、自己ベストの記録。走りが上手く跳躍に結びついたという。

 本命種目と位置付けている400mについては、「100m、200mの走りのスピードがついてきて、前半200mを走りきった後に、もう1回200mをしっかり走れる感じになってきました。前半200mのスピード上げてもエネルギーのロスは少なく、後半をしっかり走ることができるようになりました」と説明した。

 男子T13の400mの世界ランキング(2023年5月現在)1位の選手の記録は47秒75。福永の記録はランキング2位だ。

 福永は、7月開催のパラ陸上世界選手権について、「出るからにはメダルを獲る。400mでの1番は現実的には難しいと思うので、2番をしっかりとって、来年パリ・パラリンピックで世界記録を出したいです」と話した。

メイン種目は400mの福永(撮影:河原レイカ)

(取材・撮影:河原レイカ)

(写真提供:小川和行)