ゴールボール日本代表・女子 欠端瑛子選手(写真奥)、浦田理恵選手(写真手前)

ゴールボール日本代表・女子 欠端瑛子選手(写真奥)、浦田理恵選手(写真手前)

ゴールボール日本代表チームは、
5月に韓国で開催されるIBSA(International Blind Sports Federation)
ワールドゲームスに向けて、調整を進めている。

ゴールボール日本代表・男子チームは今大会で3位以内、女子チームは2位以内に入ると、
2016年のリオ・パラリンピックへの出場権獲得につながる。

ロンドンパラリンピックで金メダルを獲得した女子チームは、パラリンピック2連覇の夢を
実現するため、男子チームはパラリンピック初出場を果たすため、チーム一丸となって臨む。
都内で開催された代表合宿で、日本代表チームのキャプテン、ヘッドコーチに話を聞いた。 

(取材・撮影 河原由香里)

男子チーム・キャプテン 信澤選手

男子チーム・キャプテン 信澤選手

『リオには、必ず、出なければいけない』
男子チーム・キャプテン 信澤用秀選手

僕らにとって、2016のリオ・パラリンピックは、
2020年の東京パラリンピックを考えたうえで、必ず出ないといけないものです。

これまでは、「パラリンピックに出るのが目標」「パラリンピックに出たい」
ということだったかもしれませんが、リオパラリンピックには「出ないといけない」。

リオへの切符を獲るチャンスは、5月のIBSAワールドゲームスと今秋の
アジアパシフィック選手権と2回あるわけですが、それをものにしないといけない。
使命というか、そういうものを感じています。

これまで以上に、強い期待もあるし、強い思いも僕らは持っているし、
そういう重要な年になっています。

日本の選手は、海外の選手に比べるとパワーでは劣ります。
でも、細かい作戦、動きの機敏さは、他国とわたりあえるし、他国以上のものを
出せたりすると思います。

繊細さ、細やかさ、すばやさは、体の小さい日本人だからできるし、強みだと思います。

これまでの大会では初戦でなかなか勝てなかったので、IBSAワールドゲームスでは、
最初の1試合で勝ちたいです。

男子チーム 池田ヘッドコーチ(写真左から3人目)

男子チーム 池田ヘッドコーチ(写真左から3人目)

『初戦で金星を獲り、勢いづけたい』
男子チーム・ヘッドコーチ 池田貴さん

 
先日、スウェーデンのマルモで開催された大会(4月に開催されたMalmo InterCup
日本男子チームは7位)でも勝てない試合が続いたんですけど、
こてんぱんに負けているとか、手も足もでないというわけではないんです。

まだ、勝ち方を知らない。

対戦相手によって、選手のボールの投げ方、ボールを投げるタイミングが異なりますが、
そういうものに翻弄されて、相手に得点を先に与えてしまっています。
それを追いかけることが焦りになったり、ミスが出てしまいます。

場数というか、経験を積んでいくことが大切ですが、マルモではまさにそれを感じて、
経験して帰ってきたところです。

男子の場合は、予選で10点差をつけられて負けていたチームが、決勝で勝利するような
こともあります。勝敗は、紙一重。
試合の流れをつかめば、勝敗が入れ替わり、ひっくり返せるところまで来ていると思います。

初戦は大事です。
IBSAワールドゲームスの初戦で対戦するカナダは、僕らよりもランキングが上です。
でも、金星をとって、勢いをつけていきたいと思います。

2014年に韓国で開催されたアジアパラ競技大会の時も、中国、イランには予選で負けた
んですけど、イランとは終盤まで競り合っていた。その自信が3位決定戦で韓国と対戦
した時の逆転勝利につながりました。

マルモの遠征では、まだ足りないところを教えてもらいました。
そこから、また、一つステップが上がった状態でIBSAを戦えることを楽しみにしています。

女子チーム、市川ヘッドコーチ(写真一番左)、キャプテン浦田選手(左から2人目)

女子チーム、市川ヘッドコーチ(写真一番左)、キャプテン浦田選手(左から2人目)

『自分たちのゴールボールをすれば、結果につながる』
女子チーム・キャプテン 浦田理恵

世界の対戦国が進化をしていて、強くなっているのを感じています。
私たちに、ゆとりはないですね。

日本の選手は、パワーでは海外の選手に劣ります。
パワーで戦っても、試合を自分たちの流れに持っていけないことをまず認識をして、
受け入れることが必要だと考えています。

そのうえで、「自分たちの強みとは何か?」と考えると、
私たちの強みは、ディフェンスです。その強みを活かしていくことで、必ず、
勝因があると思います。

一人の力は強くないけれど、3人でまとまった時の力は、どの国にも勝ります。
攻撃も総攻撃で、小さなことを積み重ねて、得点や勝利につなげたいと思っています。

日本代表の若手(若杉遥選手、天摩由貴選手、欠端瑛子選手)は伸びしろがあって、
成長のスピードが速いし、吸収しようとするところを感じています。

日本チーム全員が、自分が主軸だと意識していますし、一人ひとりの強みを共有
していますので、お互いに強みをさらに引き出しあいながら戦っていきたいですね。

若手の3選手は、まだ遠慮をしたり、声が小さくなったりすることもありますが、
2016年のリオ、2020年の東京につながっていくところを持っていると思っています。
私自身もみんなに引き上げてもらおうと思っています。

『楽しく、笑顔で、強く をスローガンに』
女子チーム・ヘッドコーチ 市川喬一さん

今年から女子チームのヘッドコーチになりましたが、
2008年から2012年までアシスタントコーチをしていましたので、
ロンドンパラリンピックで金メダルを獲った時はどんなチームだったのかを考え、
その原点に立ったチームづくりに取り組んでいます。

2013年からこれまでに、得られたもの、得られなかったものがあります。
リオパラリンピックの出場権はまだ獲れていない現状です。その中で、
ディフェンス型のチームに立ち返りましょうと言っています。

海外のチームと戦うためには、根気強いディフェンス力で戦うことが必要ですし、
それを叩きこんでいるところです。
自分たちの強みを再確認して、その強みを伸ばすということです。

海外には、強い球でディフェンスを突破して得点しようとするチームがありますが、
日本の選手は体が小さいし、我々は同じような強い球は投げられません。
ないものねだりをしても仕方がないです。

日本が持っているのはディフェンス力なので、そこを再度、構築したえうで、
攻撃も自分たちが守りやすい形での攻撃をしようと考えています。

チームのスローガンは、「楽しく、笑顔で、強く」です。
それを、どんな状況でも忘れずにやろうということを言っています。
IBSAワールドゲームスは、厳しい戦いになると思いますが、2位以内を目指しています。

【ソウル2015 IBSAワールドゲームス】
(SEOUL 2015 IBSA World Games)

IBSA(International Blind Sports Federation)は、視覚障がい者スポーツの国際団体。
ソウルIBSAワールドゲームスは、韓国・ソウルで5月10日から17日まで開催。
実施競技は、陸上、柔道、ゴールボール、5人制サッカー(B1:全盲クラス,B2/B3:弱視クラス)、
パワーリフティング、水泳、テンピンボウリング、チェス、ショウダウンの9競技。
日本代表選手は、陸上、柔道、ゴールボール、5人制サッカー(B1,B2/B3)、パワーリフティングに出場予定。