和田伸也選手、今年6月の日本選手権での走り。右は、インチョンでもともに走る今木一充ガイド。長居陸上競技場/撮影・河原由香里

和田伸也選手、今年6月の日本選手権での走り。右は、インチョンでもともに走る今木一充ガイド。長居陸上競技場/撮影・河原由香里

2012年ロンドン・パラリンピックの5000mT11クラス(全盲)の銅メダリストで、翌13年の世界選手権ではマラソンで銀メダルを獲得した和田伸也(わだ・しんや)選手。アジアパラ競技大会の出場は2010年の中国・広州大会につづいて、インチョン大会が2回目となる。

「前回の広州大会では5000mと10000mの2種目に出場しました。でも、残念ながらメダルは獲得できず、とても悔しい思いをして帰ってきました。あれから4年。私自身もレベルアップしていますし、4年前の悔しさをすべてぶつけて、メダルを目指して全力で走りたいと思っています」
とはいえ、インチョンでの出場種目は5000mに、1500mと800mの3つ。マラソンをメインに長距離種目を専門とする和田選手にとっては新たなチャレンジとなる。実は今年春、急にマラソンと10000mがインチョン大会の実施種目から外された。出場選手が少なく、実施不成立となったのだ。予想外の事態にショックを受けたが、気持ちを切り替え、インチョンでのメインを5000mに置いた。さらに、1500mや800mも念頭に、春から夏にかけてスピード強化にも取り組んできた。

「でもまだ、トラック種目では思うような記録を出せず、悔しい思いをしています。そんな中でも、ずっと応援してくださっているたくさんの仲間や家族のためにも、インチョンでは絶対に結果を残したいと、自分の新たな可能性を信じて日々のトレーニングに励み、気合も入っています。ここでよい流れをつくり、リオ(パラリンピック)に向けての弾みにもしたいと思っています」
インチョンで目指すのはずばり、3種目制覇だ。
「大会初日(19日)の5000mでは、昨年春の記録会でマークした自己ベスト(15分51秒94)を更新して金メダル、1500m(20日)ではロンドン・パラリンピックでマークした自己ベスト(4分18秒71)を更新して金メダル、そして、800m(21日)は2種目を終えた疲労の残る中、順位だけを意識して走り、3種目で金メダル獲得を目指します。がんばります!」

(取材・文/星野恭子)