庄子健選手(右から4人目)と堀貴志選手(同2人目)は、10月にカナダ代表を招いて開かれた国際親善試合「ジャパンパラ競技大会」に日本代表Bチームの一員として銅メダル獲得に貢献した=2014年10月12日/千葉ポートアリーナ―(千葉市)/撮影:星野恭子

庄子健選手(右から4人目)と堀貴志選手(同2人目)は、10月にカナダ代表を招いて開かれた国際親善試合「ジャパンパラ競技大会」に日本代表Bチームの一員として銅メダル獲得に貢献した=2014年10月12日/千葉ポートアリーナ―(千葉市)/撮影:星野恭子

2010年の世界選手権で銅メダルを獲得したウィルチェアラグビーの日本代表。
今年7月の世界選手権でもオーストラリア、カナダ、アメリカにつづく4位と善戦し、
今年8月時点の世界ランクでも4位につけている。
アジアで日本を追うのは24位の韓国で、世界ランキングから見れば、アジアでの日本
の優位は圧倒的だ。

だが、アジアパラ大会としては、前回2010年広州大会でウィルチェアラグビーは実施
されなかったため、アジアでの戦いは初挑戦になる。また、他のアジアのチームは韓国
も含めて国際大会への出場がほとんどないので、日本にとっては相手チームの情報が乏しい
といい難しい状況での戦いにもなる。

そうした状況のなか、今回の仁川大会には、アジアでの絶対王者を不動のものにすることと、
選手層に厚みを増すための若手の強化育成という2つのテーマをもって臨む。12人が名を
連ねる日本代表はベテランと若手がほどよく混ざった陣容だ。

ベテラン組のひとり、庄子健(しょうじ・たけし)選手は2012年ロンドン・パラリンピック
の代表をはじめ、世界選手権出場など国際経験も豊富だ。

「アジアパラ大会は、ランキング下位チームが多く、レベルはそれほど高くないと思うし、
また、(日本は)強化育成選手もたくさん連れて行くので試しながら戦っていくと思います。
でも、実はとても重要な大会です。(勝敗の結果で)世界ランキングが変わるので落とせません。
勝ちにフォーカスしながら、(若手も)育成するという目標で臨みます。
ライバルは韓国しかいないと思いますが、韓国は開催国でもあり、(世界ランクを上げるため
日本戦での勝ちを)狙ってくると思います。ただ、韓国は国際大会にも出場しないので、
どんな選手が出てくるのかなど全然分からず、具体的な対策もできていません。だから、怖い
部分はありますが、自分たちのゲームをするだけだと思っています」

また、今大会を数少ない国際経験の場ととらえ、次代を担う選手として貴重な代表切符を
与えられた若手のひとりが、堀貴志(ほり・たかし)選手だ。強化育成選手に選ばれてわずかに
1年。10月初旬に行われた世界ランク2位のカナダ代表との国際親善試合「ジャパンパラ競技
大会」(千葉市)で日の丸デビューを果たしたばかりだ。2回目の日本代表となる仁川大会は
自身初めての海外遠征にもなる。

「強化育成選手になって1年の僕にとって、(カナダとの)ジャパンパラ大会は本当に貴重な
機会で、いい経験になりました。そして、アジアパラは2回目の日本代表戦となります。日本
チームとして負けられない戦いなので、1位をとって帰ってこないと、(今回は日本に残る)
他の先輩たちに顔向けできません。しっかり戦ってきたいと思っています。僕は海外遠征も
初めてなので、体調を崩さず、試合に臨めるコンディションにすることも目標です。アジア
の選手との交流も今後への貴重な体験になると思っています。がんばります」

世界ベスト4の一角は確保している日本。
ベスト3への飛躍を期して、インチョンを貴重なステップにする。

(取材・文・撮影/フリーライター 星野恭子)