3つ目の金メダルを手にしたマルセル・フグ

東京パラリンピック(9月2日)の陸上・男子T54(車いす)800mで、マルセル・フグ(スイス)が優勝した。今大会、マルセルは5000m、1500mに続き、800mも制した。

同日午前に行われた予選を通過して800mの決勝に残ったのは、マルセルのほか、今大会400m金メダルのダニエル・ローマンチャック(アメリカ)、5000mと1500mともに銅メダルのプータレート・コンラック(タイ)、1500m銀メダルのプラワット・ワホラーム(タイ)、400m銅メダルの代雲強(中国)など。
800m決勝は、マルセルが、5000m、1500mに続き、3つめの金メダルを獲るのか。あるいは、他の選手が、マルセルの前に立ちはだかるのかが見どころだった。

銀色のヘルメットがトレードマーク。「銀色の弾丸」と呼ばれるマルセル

小雨が降りしきる中、午後20時半すぎ、800m決勝の号砲が鳴った。
陸上の800mは、スタートから序盤は各選手が自身のレーンを走る。バックストレートに入る地点からレーンがオープンになり、集団の中でどの位置を獲るかポジション争いになる。車いすのレースの場合、ポジション争いをする際に接触して転倒することもある。

マルセルは、レーンがオープンになる地点ではやや慎重な様子で、タイの選手の後ろ、2番手についた。しかし、バックストレートの直線が終わる地点には、タイの選手を悠々と追い越して先頭に出た。
2周目は、マルセルが終始先頭で、他の選手を引っ張って走る展開。最後の直線ではさらに一段加速し、2番手の選手との差を開いてゴールした。
マルセルは5000m、1500mに続き、800mも圧勝。

「やっぱり、マルセルが強かった」。

(文:河原レイカ)(写真提供:小川和行)