関東選手権、男子1500m(T54)決勝は、樋口政幸選手が優勝(記録3分08秒34)、2位は山本浩之選手(3分08秒94)、3位には鈴木朋樹選手(記録3分09秒23)が入った。
レースは、樋口が日本記録(2分59秒84)の更新をねらい、スタートから先頭で引っ張る展開。樋口の後ろを、渡辺勝選手、安岡チョーク選手、山本浩之選手、鈴木朋樹選手と続いた。途中、安岡、渡辺が後退、ラスト1周残り250mで樋口がスピードを上げて後続を引き離した。山本が追いかけて2位、鈴木朋樹もついていき3位を獲った。
1500mをメイン種目に位置づけ、世界トップ選手に迫ろうとしている樋口は、
今大会での日本記録更新を狙っていたが、トラック内は予想していた以上に風が強く、記録更新は達成できなかった。
この種目では国内トップの実力を持つ樋口だが、世界記録を持つスイスのマルセル・フグ選手、ロンドンパラリンピックで活躍したイギリスのデヴィッド・ウィアー選手と比較すると、「自分が勝っている要素は一つもないです」と話す。
スタートダッシュや勝負どころでの瞬発力など足りない部分をとらえたうえで、世界の強豪に追いつき、追い越すための走りを追求している。現在は、まだ走りを固めず、試行段階にあるという考えだ。
山本は、今年の東京マラソン以降、レーサーのポジションを試行錯誤しながら、走っている。自分に適したポジションは見えてきた状態にあり、現在は、走りのフォームに意識が向いている。
1500m決勝では、樋口の後ろにつきたいと考えていたが、安岡、渡辺がおり、狙い通りにはいかなかった。樋口がラストスパートでスピードを上げた時につけられた差をつめようとしたが、届かなかった。
山本のメイン種目はマラソンだが、マラソンのレースでもスピードの上げ下げ、駆け引きが必要になっており、それらの力を養う目的でトラック種目にも出場している。今後は、大分国際車いすマラソン、ニューヨークシティマラソンなど、主要なマラソンのレースに向けて、調整していく予定だ。
鈴木朋樹選手は、1500m決勝で、自己ベストを更新した。
6月の日本選手権の1500mでは、選手の集団の中での位置取りが上手くいかなった。その反省点を踏まえ、今回は、スタートから良い位置に入ることを心がけ、山本浩之選手の後ろについた。山本を追い抜くことはできなかったが、離されず、そのままゴール。結果を残した。
取材・撮影/河原由香里
撮影/一ノ谷信行