ジャパンパラ陸上競技大会が9月6日、7日、山口県の維新百年記念公園陸上競技場で開催された。
2020年東京パラリンピック開催決定のニュースからちょうど1年。今年は10月に韓国・仁川でアジアパラ競技大会が開催されることから、アジアパラに出場予定の選手も出場しており、現在の状態を確認する機会となった。
今後の日本代表入りをねらう選手たちは先輩選手に挑み、自身の実力を認識。今後の練習につなげる。(取材・撮影/河原由香里)
■200mは、樋口が永尾をおさえて優勝
男子T54では、中長距離をメインとしている樋口政幸選手が、今大会の2日間、100m、200m、400m、800m、1500m、5000mとすべての種目に出場した。800m、1500m、5000mは、国内トップの実力どおり、強さを発揮して優勝。
短距離のスタートは得意ではないが、大会初日、雨の後のレースとなった200mでは、この種目で日本記録を持つ永尾嘉章選手をおさえて優勝した。
樋口選手がメインとしている中長距離でも、世界の舞台で戦うためにはスタートから序盤の走りがカギとなるといわれている。200mの出場は今回で2回目だが、中長距離につながる走りをみせた。
200mではスタート時のスリップが響いて2位となった永尾選手は、400mで大会記録を更新。この種目では樋口選手を抑えた。万全な状態ではなかったとはいえ、200mで負けた悔しさはあった。初日の調子が今ひとつだったことを踏まえて、ウォーミングアップ等を考えながら2日目に臨んだという。
永尾選手は、「若い選手が何人か出てきているので、少しでも早く自分を抜いてほしいという気持ちとまだまだ負けたくないという気持ちと、いつも入り混じっています。彼らにとって追い抜くだけの価値のある選手でいたいと思うし、それが今のモチベーションになっています」と話した。
■若手選手も健闘
1500mで2位に入り、成長をみせたのは鈴木朋樹選手。
樋口選手の後ろにつき、ラスト200mで勝負をかけるイメージでレースに臨んだ。そのイメージ通り、レースの序盤で樋口選手の後ろについた。途中で、樋口選手にスピードを上げ下げされ、揺さぶられる場面があったが、離されずについていくことができた。
ラスト200mで樋口選手に勝負を挑む力はなかったが、後ろについてそのままゴール。イメージしていたレースをすることはできたという。
100mでは、西勇輝選手が2位。
1位の永尾選手にはまだ実力が及ばないが、100mのレースのなかで良い漕ぎの感触を得られたという。「最低限でも2位」と考えていたレースで目標を達成した。レースの中で得た良い一漕ぎの感触を今後につなげたい。
男子T54は、永尾嘉章選手、樋口政幸選手、渡辺勝選手が、アジアパラ競技大会に出場を予定している。
■男子(T54)結果
【100m】
1位 永尾嘉章 14.85
2位 西勇輝 15.17
3位 佐矢野利明 15.50
【200m】
1位 樋口政幸 27.15
2位 永尾嘉章 27.33
3位 西勇輝 28.31
【400m】
1位 永尾嘉章 49.25(大会新記録)
2位 樋口政幸 49.96
3位 渡辺勝 51.33
【800m】
1位 樋口政幸 1.40.18
2位 渡辺勝 1.40.68
3位 鈴木朋樹 1.43.44
【1500m】
1位 樋口政幸 3.12.63
2位 鈴木朋樹 3.12.98
3位 安岡チョーク 3.15.05
【5000m】
1位 樋口政幸 11.29.50
2位 渡辺勝 11.29.59