奥山選手の試技

奥山選手の試技


松崎選手の試技

松崎選手の試技

アジアユースパラ競技大会のパワーリフティングで59kg級の奥山一輝選手(20歳・順天堂大学)が銀メダル、107kg超級の松崎泰治選手(大分県立別府支援学校3年生)が銅メダルを獲得した。

奥山選手は、「ドバイに来てから体重が落ちてしまい計量がギリギリで、出場できるかどうかわからなかったのですが、大丈夫でした。試合は、中ノ瀬コーチの指示に従ってやりました。3本目の107kgは練習でも成功したことがなかった重量だったと思います。コーチは僕が上げられる重量を分かっていますので、僕は指示通り上げただけで、コーチの読みおかげです。今年で年齢的にジュニアが終わりなので、来年からはシニアの大会でしっかりとやっていきたいと思っています。2020年の東京パラリンピックへ向けて、線路から外れないようにやっていきたいです」と話した。
松崎選手は、2本目を上げたが、3本目は上げることができなかった。「自分としては1本目、2本目が軽く上がったので、3本目(140kg)に自己新記録に挑戦したのですが、少し重くて上がりませんでした。今までの大会では2本目を上げたことがなかった(記録が1本目になる)のですが、今回は2本目を上げることができました。今大会は自分にとって、海外での3回目の大会だったのですが、とてもよい経験になったと思います。奥山先輩が銀メダルを獲っていて、自分もメダルを獲りたいと思っていたので獲れてよかったです」と話した。

奥山選手

奥山選手

パワーリフティングは、選手一人ひとりがベンチプレス台の上で試技を行う。各選手が3回ずつ試技を行い、回を追うごとに重い重量の記録に挑戦する。コーチの中ノ瀬啓作さん(日本パラ・パラーリフティング連盟理事)は、奥山選手について、「3本目で、今日の自己ベストに挑戦するという作戦がぴったりはまりました。あと500g重さがあったら上がらなかったと思います。セコンドとしても満足の結果です」と話した。
松崎選手については、「3本目に140kgに挑戦しましたが、138kgであれば上がったと思います。ただ順位が決まっていましたので、安全策よりも記録に挑戦する経験を選びました。安全策ばかりでは、上げたことのない記録に挑戦する勇気を持てなくなってしまいます。競り合っている試合では、上げることができないかもしれない重量に賭けることはできないですが、今回は順位が決まっていたので挑戦してみた結果です」と説明した。

松崎選手と中ノ瀬さん

松崎選手と中ノ瀬さん

中ノ瀬さんによると、パラーリフティングでは3本目に挑戦する重量の選択が、記録の鍵を握る。1本目、2本目を上げることができた時、3本目は欲が出てしまい、自分の実力以上の重量に挑戦してしまいがちになる。失敗すれば当然、2本目の重量が記録になる。ギリギリでも上げられる重量を3本目にして確実に記録を残していくことが大事だと、選手に伝えている。コーチ(セコンド)としては、選手が試合当日に上げられる重量を見極めることが重要になる。今大会では、奥山選手が、セコンドの作戦どおり、3本目に自己ベストの記録を上げることができた。また、松崎選手は3本目に思い切って少し重めの重量に挑戦する経験ができた。

【取材・撮影/河原レイカ】