■勝負は、戦うまえに。
勝負は、戦う前に決まるのかもしれない。
そんなことを感じました。
クライミング日本選手権マムートカップ、
障害者部門で総合優勝した小林幸一郎選手から、
クライミングについて教えていただきました。
視覚障害のある選手は、競技の前に、ホールド(壁に取り付けられた石)の位置の情報を音声のテープで聞いています。
一般の選手の場合、競技の前に、壁を下から観察する時間(オブザーベーション)が与えられており、そこでホールドをどう登るのか作戦を立てますが、視覚障害者は壁を見ることができないので、音声でホールドの位置の情報を得る時間が与えられています。
小林選手によると、クライミングでは「競技の前に、どう登るのか作戦を立てるのが大事」とのこと。
ただし、音声の情報をもとに作戦を立てていても、実際に登ってみると「思っていたのと違う」ということが発生します。
ホールドの位置を近いと思っていたら、遠かったり、持ちやすいだろうと思っていたら、持ちにくかったり…。
そんなとき、どう立て直すか――。
それが、クライミングで問われる能力の1つだそうです。
この能力を培うには、数多く登ること。
思っていたのと違ったとき、
「こういう場合は、こうしよう」というアイデアが出てくるように、「引き出し」をたくさん持っていることが大事だといいます。
目標を達成するために、作戦を立てること。
作戦どおりに進めないとき、立て直すこと。
立て直すことができるように、自分の中に引き出しを持っておくこと。
引き出しは、経験したこと、体験したことから培うものであること。
勝負の舞台に立つ前に、何を身につけておくかが大事。
クライミングだけでなく、他の物事にも通じることかもしれません。
(取材メモ/河原由香里)

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